「公務員の人間関係が辛くて転職したいけれど、辞めて後悔しないだろうか……」と悩みを抱えていませんか?
民間企業への転職を考えるにしても、待遇に恵まれた公務員の職を失ってしまう未来を考えると、不安が募りますよね。
過去に公務員だった私も人間関係に悩み、辞めるべきか何度も迷いました。
しかし、十分な転職準備と自己分析をしておけば、公務員を辞めても納得のいく結果を得られます。
この記事では、公務員と民間企業の人間関係の違いや民間企業に転職する上でのコツを紹介します。
民間企業の人間関係は公務員よりマシな傾向

民間企業でも人との関わりはあるので、人間関係に悩むことはあります。
実際、21歳〜33歳の正社員経験者を対象とした調査結果によると、3割近くの人が人間関係を理由に退職した経験があるとのことです。(参照:労働政策研究・研修機構)
しかし、民間企業の人間関係は公務員に比べてマシな傾向があります。
なぜなら、民間企業の職場環境には、公務員とは異なる次の3つの特徴があるからです。
- 上司に恵まれやすい
- 人間関係をリセットしやすい
- 職場の風通しが良い
それぞれ解説していきます。
上司に恵まれやすい
公務員は年功序列の文化が根強く、勤続年数を重視して昇進や待遇が決まる傾向があります。
そのため、スキルやマネジメント能力に問題のある上司に当たった場合、コミュニケーションを取りづらい環境になってしまいます。
一方、民間企業では、評価の基準として仕事の成果や効率が重視される傾向があります。
よって、上司は経験と実績の豊富な方が多く、共通の目標に向けて互いに協力し合えるので、信頼関係を築きやすいです。
人間関係をリセットしやすい

公務員は、異動や配置転換が少なく、外部の企業や個人との関わりもあまりないため、閉鎖的な環境になりがちです。
長期間同じような環境で働くと、対人関係のストレスが蓄積し、悩みを抱えやすくなってしまいます。
それに対して、民間企業は異動や転勤、転職などで人の入れ替わりが頻繁に行われるため、環境が変化しやすいです。
気の合わない相手と自然に距離を置いたり、新たな人間関係を築くことができるので、悩みも解消しやすくなります。
職場の風通しが良い
公務員は昔からの組織の慣習に縛られる部分が多いですが、民間企業では働く環境や働き方の選択肢が広がりつつあります。
民間企業の中には、リモートワークやフレックスタイム制など、柔軟な働き方を導入しているところも増えています。
意見の通りやすい職場では、自分に合った環境で効率良く仕事を進められるため、対人関係のストレスを抱えにくいです。
転職は早いほうがいい

転職は、若い人のほうが有利です。
なぜなら、若者は年配者よりも新しいスキルや業務への適応力が高いと見なされ、民間企業での将来性を期待されやすいからです。
また、結婚や子育てなどのライフイベントが少ない時期は、転職やキャリアチェンジに集中しやすいというメリットもあります。
一方、年齢が上がると、ライバルとなる応募者のレベルは自然と高くなります。
中途採用枠には、転職の目的が明確で、スキルや実績のある人が多く集まりやすいです。
実務経験や専門性が求められる場合、公務員での経験は評価されにくく、不利になることがあります。
また、年齢とともに給与水準も高くなるため、希望する給与に見合う企業を見つけるのが難しくなります。
よって、年齢を重ねるほど、転職先の選択肢は少なくなってしまいます。
公務員が民間企業に転職するコツ

公務員の職務内容は幅広いため、実績や専門性をアピールしづらく、スキルを理解してもらうことも難しいです。
ただ、以下の4つのコツを押さえておけば、成功する可能性は十分にあります。
- 求める人材にマッチした求人に応募する
- 公務員経験を活かせる業界・職種を選択する
- 転職エージェント、転職サイトを利用する
- 資格を取得する
それぞれを解説します。
求める人材にマッチした求人に応募する
公務員にお薦めの転職先は、国や自治体とつながりのある企業です。
なぜなら、これらの企業では、行政の知識や公共機関での経験を活用しやすいからです。
例えば、NPO・NGOなどの非営利団体は、政府や自治体と密接に関わることの多い組織です。
地域支援活動を行うNPOであれば、課題解決に向けて自治体と調整したり、予算の申請や管理業務も多いため、行政の知識を生かせます。
また、コンサルティング会社の中には、地方自治体向けの業務改善や公共サービス改革を提案しているところがあります。
このような企業に転職する場合であれば、予算編成のプロセスや公共事業の進行管理など、行政の仕組みや規制に関する知識が大きな強みとなります。
公務員経験を活かせる業界・職種を選択する

公務員での経験を民間企業で役立つスキルとしてアピールすると、採用されやすくなります。
例えば、予算管理や補助金申請に関する経験や知識は、公共部門を対象とする企業の事務職で役立ちます。
教育関連部署での経験を通じて得た教育制度やカリキュラム、学校運営に関する知識は、私立学校や学習塾、NPOなどの教育機関で活用できます。
また、土木建設関連の部署で働いていた場合であれば、公共事業の専門知識や行政手続きのノウハウがあるため、行政との交渉や契約締結の業務に活かせます。
他にも福祉課や社会福祉関連の部署で働いていた場合、福祉サービスの提供、行政手続き、利用者支援等の経験があるはずです。
この経験は、介護施設や福祉関連団体、NPOなどのケアマネージャーや福祉支援スタッフとして働く上で強みになります。
転職エージェント、転職サイトを利用する
転職エージェント(リクルートエージェント、doda、マイナビ転職エージェントなど)を活用すると、キャリアアドバイザーからきめ細かなサポートを受けられます。
公務員としての経験やスキルを考慮してもらいながら、1対1で転職活動全般に関するアドバイスを受けられ、希望に合った求人を紹介してもらえます。
さらに、転職サイトには載っていない非公開求人や企業文化など、より具体的な情報も得られます。
公務員の経験を活かせる公共事業関連企業やコンサルティング会社などの求人を見つけられることもあるかもしれません。
加えて、履歴書のチェックや面接の日程調整、条件交渉など、企業とのやり取りを代行してもらえるので、公務員の仕事に集中しつつ、効率良く転職活動を進められます。
また、転職エージェントが主催するセミナーでは、民間企業が求めるスキルやマナー、履歴書の書き方、面接の進め方など、公務員とは異なるポイントも効率的に学べます。
一方、転職サイト(リクナビNEXT、doda、エン転職など)では、自ら求人情報を探して直接応募するので、自分のペースで転職活動を進められます。
多くの求人が掲載されており、転職市場の情報も収集できるので、公務員の経験を活かせる職場や自分に合った企業を見つけられます。
また、複数の企業に応募できるメリットがあり、プロフィールを公開することで、企業からスカウトされる可能性もあります。
公務員の経験やスキルが、企業の求める条件にマッチしていればアプローチされるので、自分から応募しなくてもチャンスを得られます。
資格を取得する

公務員は、民間企業に比べるとスキルや実務経験が少ないため、転職の際に不利になりがちです。
しかし、資格を取得すると専門的な知識を証明できるため、転職の幅が広がり、新しい職種にも挑戦しやすくなります。
例えば、簿記資格は、経理職への転職で大いに役立ちます。
簿記資格があると、財務管理や仕分け処理などの実務に直結するスキルをアピールできるので、民間企業の経理ポジションを目指せます。
また、ファイナンシャルプランナー(FP)資格を取得すれば、銀行や証券会社、保険会社などの金融業界へ転職しやすくなります。
営業経験に乏しい公務員でも、FP資格があれば金融や保険の知識を証明できるので、資産管理や資金計画のサポート業務に携われます。
それ以外にも、プログラミングやデータ管理などのITスキルを習得すると、システムエンジニアやプログラマーといった技術職への道が開けます。
実務経験の少ない公務員でも、ITパスポートや基本情報技術者試験などの資格があると、ITスキルを証明できるので転職時に有利です。
転職で後悔しないためのポイント

収入や保証の違いを確認する
転職してから後悔しないためには、給与体系や昇給の仕組み、手当や福利厚生の内容を比較し、確認しておくことが大切です。
公務員は勤続年数とともに昇給するため、収入が安定しています。
一方、民間企業では、成果に応じて給与が決まる評価制度を採用している場合があり、業績や個人の成果によって報酬が大きく変動することがあります。
よって、企業の給与設定の方法や評価基準を確認しておくことが必要です。
また、公務員は共済組合に加入している関係で、健康保険や年金、退職金の制度が手厚く、手当も充実しています。
一方、民間企業では健康保険や年金の制度、手当の種類や支給条件が会社によって異なるため、事前に確認することが重要です。
健康保険が協会けんぽの場合、公務員の共済組合と比べて医療費補助や給付内容が少ないことがあります。
また、企業年金を導入していない会社では、老後の年金額が公務員よりも少なくなる可能性があります。
さらに、公務員では一般的な扶養手当や退職手当も、民間企業では支給されない場合があるため事前に確認しましょう。
働き方が変わることを覚悟する

民間企業に転職すると、成果主義の評価制度、労働時間、職場文化などが公務員時代と大きく異なる場合があります。
転職後にギャップを感じるリスクを減らすためにも、企業の実態を事前に把握し、自分が対応できるかを見極めることが大切です。
転職エージェントや求人情報だけでは得られないリアルな情報も活用すると、より正確な判断ができます。
例えば、就職四季報には独自調査による企業データが掲載されており、離職率・平均勤続年数・残業時間などを確認できます。
また、OpenWorksや転職会議などの口コミサイトでは、社員の生の声から企業文化や職場環境をチェックできます。
在職中に転職活動を進める

在職中に転職活動を進めておけば、退職後、スムーズに次の仕事へ移行しやすくなります。
ただし、公務員には職務専念義務があるため、勤務時間中の転職活動は避け、本来の業務に支障をきたさないよう注意しないといけません。(参照:国家公務員法第101条・地方公務員法第35条)
そのために、事前に転職活動のスケジュールを立て、時間を有効に活用して計画的に進めることが必要です。
例えば、休憩時間を利用して、情報収集や転職エージェントとのやり取りを行うといった方法が挙げられます。
面接は、週末や有給休暇を活用して、1日に複数の企業をまとめて受けると効率的です。
Web面接を行う企業も増えているので、時間を調整すれば、平日の夜にもオンラインで面接を受けられます。
退職する時期を見極める

すぐに退職すると、退職金やボーナスの面で損をしてしまうことがあります。
ボーナスは6月と12月に支給され、退職金は年度単位で計算されます。
そのため、6月末または12月末、年度末のタイミングで辞めるのが賢明だといえます。
また、転職先の入社時期を見据えることも大切です。
転職活動が長引いたり、無収入の期間が発生した場合に備えて、最低でも生活費の6ヶ月分を目安に貯蓄しておく必要があります。
おわりに
民間企業の人間関係は公務員よりマシな傾向であるため、風通しの良い職場環境で自分に合った働き方ができれば、対人ストレスは少なくなります。
ただし、転職は年齢が上がるほど不利になりやすいため、早めの行動が重要です。
企業の給与体系や実態を事前に調査し、適切なタイミングで退職することで、後悔のない転職につなげられます。
転職エージェントや転職サイトを活用しながら、効率的に転職活動を進めましょう。